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北米のハレ・クリシュナ問題

こんにちは。北米におけるハレ・クリシュナの社会問題について、もうちょっと説明を加えようと思います。まず、念のために強調しておきますが、日本のオウム真理教のような問題が起こったわけではありません。私はもう何年も北米に住んでいて、ハレ・クリシュナの活動の様子もわりとよく見ていますので、その点は間違いありません。全く平和な既成宗教だという判断がしっかり定着していますので、ご安心ください。

殺人事件は一般市民を対象としたテロのようなものでもなく、単なる組織内部の人間的な関係から生じた事件です。また、犯人のお坊さんは実は頭にすごくひどい打撲を受けたことのある方でした。幸いにして一命は取り留めたものの、2ヶ月くらいして意識が戻ると、別人のようになっていたそうです。攻撃的になり、性的な欲求を抑えられなくなりました。頭にひどい打撃があると、割と普通のことだそうです。事件はこの事故の後で起こったことなので、犯罪は犯罪ですが、犯人もお気の毒と言えないこともないような。。。

また、女性に対する蔑視の問題については、プラブパーダご自身は女性信者を極めて平等に扱ったことを特記しなければなりません。文書にされたものの中には女性を蔑視するとしか思えないものもたくさんありますが、全体的に理解すると;
1.女性だろうが男性だろうが猿だろうが、それは外側に過ぎない。
2.男性と女性は構造や特質が根本的に違う。平等と区別は矛盾しない。運転している車が違えば役割も違うようなもの。
。。。というようなことが言えると思います。これについては、いずれ本書の内容を一部紹介します。

なお、こうした問題が起こるのは、ある宗教が新しい土地に広まる場合には普通のことで、何もハレ・クリシュナだけのことではありません。ハレ・クリシュナの問題が目立ったのは、プラブパーダの圧倒的なカリスマで教えがあまりにも熱狂的に短期間で受け入れられたからでしょう。当時のアメリカは拠り所を求める若者たちで溢れていました。プラブパーダはヒッピーたちの神様になったのです。でも、こういっては何ですが、ヒッピーたちの多くは頭が雲の間を漂っているというか、あんまり現実的な後先を考えないようなところがあります。プラブパーダの懸念も大きく、亡くなる最後のときまで文化としてのハレ・クリシュナの教えが定着していないことを悔やんでおられました。

現在では、こうした一時的な問題は影をひそめています。ヒッピーの時代も過ぎて、本の販売も落ち込みました。その代わり、かつてハレ・クリシュナの教えに触れた人々が今でも(緩やかでも)ベジタリアンとして老年期を迎えていたりするし、家にハレ・クリシュナの本がなんとなくおいてあるという環境で育った世代も増えています。一時的な熱がさめて、基盤を変えつつ土着化しているのです。

これは植物などとも同じで、すごくもてはやされて一気に広まったけれど世話の仕方が分からずにほとんどの人は枯らしてしまい、でも時間が経つと「なんとなく馴染みの庭木」として愛されるような、そんなものではないでしょうか。

なお、私はカナダのバンクーバーに住んでいますが、大きなお祭りがあるたびに地元のお偉いさんがこぞってスピーチをしにやってきます。ラサヤトラという一番大きなお祭りのときなどは、何とびっくり、国家主席であるエリザベス女王様から丁寧なお手紙が届きます。カナダはイギリス連邦なのです。もちろん、エリザベス女王に乗り遅れまいとして、首相、州知事、インド大使、市長さん、そのほかのいろんな人から祝辞が届きます。変な宗教でないことだけは、これで証明されたといえるのではないでしょうか。

また、このお祭りは市内の大きな自然公園で大々的に行われ、毎年何万人という人が参加します。女性も歌うし、踊るし。子供も虐待どころか甘やかされてるろくでもないのがうろちょろしています。男女の若者たちが自発的に作っているキールタンのバンドなんかもあって、ほんとに楽しそうです。現在ではすべての全寮制の学校が閉鎖され、一部に通学制の学校があります。寺院での教育も行われています。伝統を守りつつ、全く異質の北米文化に少しずつ、しかし確実に根付いています。

ご意見やご質問があればご連絡ください。
by ammolitering4 | 2009-05-13 14:44 | ハレ・クリシュナ運動


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