第12段落
このように、クリシュナとラーダーラーニーはどちらも超越的に資質を備えており、彼らはどちらも互いを魅了します。それでもその超越的な魅力においてラーダーラーニーはクリシュナより偉大です。ラーダーラーニーの魅力は恋愛における超越的な味わいであるからです。 同様に、従者であること、友情、および他のクリシュナとの関係において(も)、超越的な味わいがあります。これらはバークティ・ラサームリタ・スィンドゥーの内容を参照することで描写され得ます。(訳注:これは多分、「詳細はバークティ・ラサームリタ・スィンドゥーに詳しく描写されている」ということだと思います。) 第13段落 献身奉仕によって完全に浄化され、高度な意識に位置しているのでいつも喜びに溢れている者、シュリマッド・バーガヴァタムの学習に非常に執着している者、献身者との関わりにおいていつもほがらかである者、クリシュナの蓮の御足を自分の人生の究極の避難所として受け入れた者、そして献身奉仕のすべての詳細を喜んで実行する者は、自分の純粋な心の中に愛着の超越的な恍惚感を持っています。 その恍惚的な存在のあり方がクリシュナへの愛と超越的な経験によってより豊かにされるとき、人は徐々に霊的な人生の成熟した調和(oneness)に至ります。そのような霊的な人生は、クリシュナ意識と献身奉仕に位置していない者には可能ではありません。 この事実は、さらにバークティ・ラサームリタ・スィンドゥーにおいて裏づけされています。そこでは次のように述べられています。「非献身者にとっては、献身奉仕の味わいを理解するのは非常に困難です。完全にクリシュナの蓮の御足の庇護のもとに入り、その人生が献身奉仕の海に浸った者だけがこの超越的な喜びを理解することができます。」 第14段落 主チャイタンニャはこうして人生の超越的な状況と霊的な楽しみを簡潔に説明しました。そして主は、完成の最初の段階は、物質世界で知られているように、普通の意味(sense)において宗教的な人になることである、と教えました。完成の第2の段階は、物質的に豊かになることです。物質的な完成の第3の段階は、完全な感覚の喜びを得ることです。 そして第4の段階には解放の知識があります。この水準の上には、第5段階にあって既に解放されている者、およびクリシュナ意識、すなわち主への献身奉仕において確立している者がいます。クリシュナ意識における献身奉仕の最高の完成においては、人は霊的な楽しみの恍惚感の味を経験します。 第15段落 主はそれからサナータナ・ゴスヴァーミーに、自分は以前プラヤーグ(アッラハバッド)において、彼の弟ルーパ・ゴスヴァーミーに教えたのである、とおっしゃいました。主はサナータナ・ゴスヴァーミーに、自分が与えた知識を広めるようにルーパ・ゴスヴァーミーに力を授けた、と断言なさいました。 主(訳注:チャイタンニャ)はそれから同様にサナータナ・ゴスヴァーミーに、主(訳注:クリシュナ)への超越的な愛情ある奉仕について本を書くように命令なさり、そして主は彼にマトゥーラー地域にあるクリシュナが娯楽をなさった様々な場所を発掘する権限を与えられました。 サナータナ・ゴスヴァーミーはまた、ヴリンダーヴァンに寺院を建て、主チャイタンニャご自身によって認められたようにヴァイシュナヴァ主義の原則に関する本を書くように助言されました。サナータナ・ゴスヴァーミーは、主のこれらすべての望みを実行しました。 彼はヴリンダーヴァンにマダナモハナの寺院を建て、そして彼はハリ・バークティ・ヴィラーサなの、献身奉仕の原則に関する本を書きました。主チャイタンニャはさらにサナータナ・ゴスヴァーミーに、いかにして人がクリシュナとの完全な関係にありながら物質世界に住むことができるかを教えられました。 そして主はまた彼に、形式的な放棄の必要性はないとも教えられました。これらの教えの解説は、現在の時代には霊的に発達していないけれど放棄階級となる人がたくさんいる、ということです。主チャイタンニャは、人がクリシュナ意識の完全な知識を持たずに放棄階級となることを認められませんでした。 実際は、その行いが普通の者より低いのに、放棄階級にある者と自称する多くのいわゆるサンニャースィーたちがいることが見受けられます。主チャイタンニャ・マハープラブは、そのような偽善を認められませんでした。主はサナータナ・ゴスヴァーミーに、自分の様々な本で献身奉仕という主題について詳細に書くように教えられました。 第16段落 物質世界にいる間でさえ経験することのできる霊的な人生の完成された水準は、バガヴァッド・ギーターの12章において次のように描写されています。「妬み深くなく、すべての生命体の親切な友である者、自分が所有者であると考えない者、偽りの自我から自由であり、幸せと苦しみ(distress)の両方において等しい者、いつも満足していて、決意を持って献身奉仕に携わっている者、そしてその心と知性が私と共通している者(in agreement with)、、、その人は私にとって非常に愛しい者です。 一般の様々な活動(ordinary course of activities)に依存していない者、純粋であり、熟達者であり、不安がなく(without care)、すべての痛みから自由である者、そして何らかの結果のために大変な努力をすることのない者は、私にとって非常に愛しい者です。 喜びにも悲しみにもしがみつかない者、嘆きもせず、望みもしない者、そして縁起の良いものも不吉なものの放棄する者は、私にとって非常に愛しい者です。 友にも敵にも等しい者、名誉においても不名誉(dishonor)も寒さにも、幸せにも苦しみにも、名声にも悪評(infamy)にも心の均衡を保つ者、いつも汚染から自由であり、いつも静寂であり、どんなものにも満足している者、どんな住まいでも気にしない者、知識において固定していて(訳注:しっかりした知識を持ち)、献身奉仕に携わっている者は、私にとって非常に愛しい者です。 この献身奉仕の不滅の道を辿る者、そして私を至高の目的地として信念を持って完全に働く者は、私にとってとてもとても愛しい者です。(BG.12.13-20) 第17段落 たとえそのような超越的な立場に位置していなくても、もしもそのような超越的な人生を認めるなら、その人はクリシュナにとってとても愛しくなります。シュリマッド・バーガヴァタム(2.2.5)には、献身者は常に至高主の慈悲に依存し続けるべきであり、物質的な必要性に関しては彼は何であれ努力せずに得られるもので満足しているべきである、と述べられています。 このことに関して、シュカデヴァ・ゴスヴァーミーは、献身者は決していかなる助けを求めてでも物質主義的な者に近づくべきではない、と助言なさいました。人の身体的な必要性に関して言えば、人は道から破れた衣類を拾い上げることができ、木によって差し出される果物を取ることができ、川を流れる水を飲むことができ、そして自然自身によって作られた洞穴にすむことができます。 たとえこれらすべてのことをすることができなくても、それでも人は、至高主がすべての者に食べ物と住みかを与えてくださることを理解して、完全に主に依存すべきです。人は、主は決してご自分に完全に服従した献身者の面倒を見切れないということはない、ということを理解すべきです。ともあれ、献身者はいつも守られています。したがって、彼は自分の維持について全く心配すべきではありません。 第18段落 サナータナ・ゴスヴァーミーはこのように献身奉仕のすべての段階について問い、そして主チャイタンニャは彼にシュリマッド・バーガヴァタムのような権威ある聖典から最も内密に教えました。主はまた、クリシュナの超越的なお住まいについての情報を与える、ハリヴァムシャとして知られるヴェーダ文献も参照なさいました。 この情報は、クリシュナの力に挑戦して負けた後で(インドラがクリシュナに)祈りを捧げたとき、インドラによって明かされました。ハリヴァムシャには、鳥や飛行機は飛ぶことができるが、彼らは高位の惑星系に至ることはできない、と述べられています。 高位の惑星系は、宇宙の中心部(訳注:middle, 物理的な中央という意味ではなく、上中下の中を指すのだと思います)に位置する太陽から始まります。太陽の先には、大いなる禁欲と苦行によって上げられた人々が位置する他の惑星系があります。 物質宇宙全体はデヴィーダーマと呼ばれ、その上には主シヴァとその妻パールヴァティーが永遠に住まわれるシヴァダーマがあります。その惑星系の上には、ヴァイクンターとして知られる無数の霊的な惑星が位置する霊的な天空があります。 これらのヴァイクンターの惑星の上には、ゴロカ・ヴリンダーヴァンとして知られるクリシュナの惑星があります。ゴロカという言葉は、「牛(cows)の惑星」を意味します。クリシュナは大変牛がお好きなので、主のお住まいはゴロカとして知られています。 ゴロカ・ヴリンダーヴァンは、すべての物質的および霊的な惑星を合わせたよりも大きいです。ハリヴァムシャの中にある祈りにおいて、インドラは、ブラーマーに尋ねることによってさえゴロカの位置づけを理解することができなかった、と認めています。 クリシュナのナーラーヤナ拡張体の献身者である者たちはヴァイクンターに至りますが、ゴロカ・ヴリンダーヴァンに至ることは非常に困難です。実に、その惑星は主チャイタンニャあるいは主シュリー・クリシュナの献身者である者によってのみ到達し得ます。 主クリシュナに次のように認めたのはインドラでした。「あなたは霊的な世界にあるあのゴロカの惑星から下りていらっしゃいました。そして私が引き起こした騒動は、すべて私の愚かさのせいです。」そのためインドラは主クリシュナに自分を許してくれるように乞い願いました。 第19段落 主クリシュナの娯楽の最後の部分は、シュリマッド・バーガヴァタムの中でモーシャラ・リーラーとして描写されています。これはクリシュナのこの物質世界からの消滅の神秘を含んでいます。その娯楽において、主は狩人によって殺される役を演じられました。 主クリシュナの娯楽の最後の部分について、多くの不適切な説明が存在します。(クリシュナの髪の化身の描写などです。)しかし主チャイタンニャは、これらの娯楽を正しく描写なさり、それらに正しい解釈を与えられました。 クリシュナの髪の化身について言えば、シュリマッド・バーガヴァタム、ヴィシュヌ・プラーナ、およびマハーバーラタにおいて言及されています。そこには、主はご自分の頭から灰色の毛(訳注:a gray hair普通は白髪を指す)と黒い毛を抜き、そしてこれらの二本の毛がロヒニーおよびデヴァキーというヤドゥ王朝の二人の妃たちの子宮に入った、と述べられています。 また、主クリシュナはすべての悪魔たちを打ち破るために物質世界に降臨なさるとも述べられていますが、一部の者は、クリシュナはこの宇宙の中の牛乳の海に横たわるヴィシュヌの化身であると言います。 シュリーラ・ルーパ・ゴスヴァーミーは自著ラグー・バーガヴァタームリタにおいて、そして彼の解説者シュリー・バラデヴァ・ヴィデャーブーシャナも、これらの事柄を完全に議論し、正確な事実を確立しました。(訳注:二人とも議論して事実を確立したが、前者はそれを自著の中で行った、ということ。)シュリー・ジーヴァ・ゴスヴァーミーもまた、これらの事柄をクリシュナ・サンダルバーにおいて議論しています。 第20段落 主チャイタンニャがシュリー・サナータナにご自分の教えを終えられたとき、力づけられて悟りを開いた(empowered; 能力を向上させられた、権限を与えられた)(enlightened; 啓蒙された)サナータナは、非常に超越的に喜んでいたので、直ちに主チャイタンニャの足元にひれ伏して言いました。 「私は非常に身分の低い家庭に生まれました。そして私はいつも卑しい人々と関わってきました。したがって、私は罪人の中で最も低いものです。それでもあなたはとても親切でいらっしゃるので、この宇宙で最も偉大な存在である主ブラーマによってさえ理解されない教えを私に教えてくださいました。 あなたの恵みによって私はあなたが私に教えてくださった結論の真価を理解しました。しかし私はとても低いので、あなたの教えの海の一滴にさえ触れることができません。ですから、もしもあなたがつまらない人間でしかない私に踊ることを望まれるなら、どうかあなたの足を私の頭の上に置くことによって、私にあなたの恵みをください。」 第21段落 このようにサナータナ・ゴスヴァーミーは、主の恵みによって主の教えが実際に自分の心の中で発達するように、主の認証を求めて祈りました。そうでなければ自分が主の教えを描写できる可能性は全くないということをサナータナは知っていました。 このことの解説は、アーチャーリャ(霊的指導者)はより高い権威者によって権威を与えられているということです。教えそれ自体だけでは人を熟達者にすることはできません。霊的指導者、すなわちアーチャーリャによって恵みを与えられない限り、そのような教えは完全に顕現するようになることはできません。 したがって、人は霊的指導者の教えが自分の中で発達することができるように、霊的指導者の恵みを求めるべきです。サナータナ・ゴスヴァーミーの祈りを受け入れた後で、主チャイタンニャはご自分の足をサナータナの頭の上に置き、ご自分の教えのすべてが完全に発達するように彼に恵みを授けられました。 第22段落 こうして主は至高神への愛の究極の段階を描写なさいました。主チャイタンニャは、そのような描写はあまり綿密には与えられ得ないが、自分は彼に可能な限りのことを教えたのである、とおっしゃいました。結論は、主チャイタンニャのサナータナ・ゴスヴァーミーへのこれらの会話と教えを注意深く聞く者は誰であれ、非常に早くクリシュナ意識に至り、主への献身奉仕にいそしむということです。
by ammolitering4
| 2011-02-05 17:14
| 「主チャイタンニャの教え」
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