第31段落
物質宇宙を作る必要があるとき、ヴィシュヌはご自分をマハー・ヴィシュヌとして拡張なさいます。このマハー・ヴィシュヌは因果の海に横たわり、ご自分の鼻腔からすべての宇宙を吐き出します。こうして、マハー・ヴィシュヌと因果の海からすべての宇宙が生まれ、これらの宇宙のすべては因果の海に浮かびます。 このことに関して、ヴァーマナの話があります。主が三歩歩いたとき、主の足が宇宙の覆いを突き破りました。因果の海からの水が、主の足が作った穴から流れました。そして、その水の流れがガンジス川になったと言われています。したがって、ガンジス川はヴィシュヌの最も聖なる水として受け入れられており、ヒマラヤ山脈からベンガル湾までのすべてのヒンズー教徒によって崇拝されています。 第32段落 因果の海に横たわるそのマハー・ヴィシュヌは、実際はクリシュナの最初の拡張体であってヴリンダーヴァンの娯楽ではクリシュナの兄であるバララーマの拡張体です。ハレ・クリシュナ、ハレ・クリシュナ、クリシュナ、クリシュナ、ハレ、ハレ。ハレ・ラーマ、ハレ・ラーマ、ラーマ、ラーマ、ハレ、ハレというマハー・マントラの中のラーマという語はバララーマを指します。 ニテャーナンダはバララーマの拡張体であるので、ラーマは主ニテャーナンダとも呼ばれます。このように、ハレ・クリシュナ、ハレ・ラーマは、クリシュナとバララーマだけでなく、主チャイタンニャとニテャーナンダも指します。 第33段落 チャイタンニャ・チャリタームリタの主題は、主にこの物質創造を超えたものに関わっています。宇宙の物質的な広がりはマーヤーと呼ばれます。それは永遠なる存在性を持たないからです。それは時として顕現しており、別のときには非顕現であるので、幻想的であると見なされます。しかし、この一時的な顕現の向こうには、バガヴァッド・ギーターに示されているように、より高位なる自然があります。 (サンスクリット引用) 「しかし、もう一つの自然があります。それは永遠であり、この顕現であったり非顕現であったりする物質を超越しています。それは至高であり、決して滅ぼされません。この世界のすべてが滅ぼされるとき、その部分はそのままに留まります。」(BG8.20) 第34段落 その至高の自然は顕現(ヴャクター)と非顕現(アヴャクター)を超えています。創造と滅亡のどちらをも超えた、この優位なる自然は、すべての生命体の体の中に現れている生命力です。体そのものは、劣性なる自然である物質によって構成されています。しかし、体を動かしているのは優性なる自然です。 その優勢なる自然のしるしは意識です。そのため、すべてが優勢なる自然によって構成されている霊的な世界においては、すべてが意識的です。物質世界においては、不活性な物体は意識的ではありませんが、霊的な世界においてはその限りではありません。そこではテーブルが意識的であり、地面が意識的であり、木々が意識的であり、、、すべてが意識的なのです。 第35段落 この物質的な顕現がどこまで広がっているかを想像するのは可能ではありません。物質的な世界では、すべてが想像あるいは何からの不完全な方法によって計算されますが、ヴェーダ文献は物質的な宇宙の向こうにあるものに関して情報を与えています。 実験的な知識を信じる者たちは、ヴェーダの結論を疑うかもしれません。彼らはこの宇宙がどこまで広がっているかを計算することさえできず、宇宙そのものの中で遠くまで足を伸ばすこともできないからです。 実験的な方法によっては、この物質自然を超えたところにあるいかなるものに関しても情報を得ることはできません。私たちの知覚の力を超えているものは、アチンテャ、すなわち知覚できないもの、と呼ばれます。 知覚できないものについて議論したり推察したりするのは無駄です。もしもそれが本当に知覚できないなら、それは推察や実験の影響の下にはありません(対象にならない)。私たちのエネルギーは限られており、私たちの感覚知覚は限られています。 したがって、私たちは知覚できない主題に関してはヴェーダの結論に依り頼まねばなりません。優性なる自然に関する知識は、単に議論することなく受け入れられなければなりません。私たちが全くアクセスを持たない(人智の及ばない)何かについて議論することがどうして可能でしょうか? 超越的な主題を理解するための方法は、主クリシュナご自身によってバガヴァッド・ギーターの中で与えられています。そこでクリシュナはアルジュナに4章の始めでおっしゃいます。 (サンスクリット引用) 「私はこの不滅のヨガの科学を太陽神ヴィヴァスヴァーンに教えました。そしてヴィヴァスヴァーンはそれを人類の父であるマヌに教え、マヌはそれを次にイクシュヴァークに教えました。」(BG4.1) 第36段落 これはパラムパラー、すなわち師弟継承の方法です。同様に、シュリマッド・バーガヴァタムにおいて、クリシュナは宇宙の中で最初の創造された生物であるブラーマーの心臓に知識を授けました。ブラーマーはこれらの教えを自分の弟子ナーラダに授け、ナーラダはその知識を自分の弟子ヴャーサデヴァに授けました。 ヴャーサデヴァはそれをマドフヴァーチャーリャに授け、そしてマドフヴァーチャーリャからその知識はマーダーヴェンドラ・プリーへ、イーシュヴァラ・プリーへ、そして彼からチャイタンニャ・マハープラブへと伝わります。 第37段落 人は、もしもチャイタンニャ・マハープラブがクリシュナご自身であるなら、なぜ主は霊的指導者を必要としたのか、と問うかもしれません。もちろん、主は霊的指導者を必要としてはいませんでした。しかし主はアーチャーリャ(模範を示して教える者)の役割を演じておられたので、霊的指導者を受け入れられました。 クリシュナご自身でさえ、霊的指導者を受け入れられました。それがシステムだからです。このようにして主は人々に模範を示されます。しかし、私たちは主が知識を欲しているから霊的指導者を受け入れるのだと考えるべきではありません。 主は単に師弟継承を受け入れることの重要性を強調していらっしゃるのです。その師弟継承の知識は、実際は主ご自身より来ています。そして、もしもその知識が壊れることなく授けられるなら、それは完璧です。 私たちはその知識を最初に授けたもともとの人格と直接関わってはいないかもしれませんが、私たちはこの伝達のプロセスを通して同じ知識を受け取ることができます。シュリマッド・バーガヴァタムにおいて、完全真理であり至高の人格神であるクリシュナが超越的な知識をブラーマーの心臓に伝達なさったと述べられています。 それでは、この、心臓を通してという方法は、知識が受け取られるための一つの方法です。このように、人が知識を受け取るには二つの方法があります。一つは、すべての生命体の心臓の中に超魂として鎮座しておられる至高の人格神に頼るものであり、もう一つはクリシュナの拡張体であるグル、すなわち霊的指導者に頼るものです。 こうしてクリシュナは情報を内と外の両方から伝えられます。私たちは単にそれを受け取らねばなりません。もしも知識がこのようにして受け入れられるならば、それが知覚できないものであるかどうかは関係ありません。 第38段落 シュリマッド・バーガヴァタムには、物質的な宇宙を越えたところにあるヴァイクンサの天体系について多くの情報が与えられています。同様に、チャイタンニャ・チャリタームリタには多くの知覚できない情報が与えられています。 実験的な知識を通してこの情報に到達しようとするいかなる試みも可能ではありません。知識は単に受け入れられなければなりません。ヴェーダの方法によれば、シャブダ、すなわち超越的な音が証拠として取り扱われています。 ヴェーダ的な理解においては、音は非常に大切です。もしもそれが純粋ならば、それは権威あるものとして受け入れられます。物質世界においてさえ、私たちは電話やラジオによって何千キロもの距離を送られてきた大量の情報を受け入れます。 このようにして、私たちは日常の暮らしにおいて音を証拠として受け入れます。たとえ情報提供者を見ることができなくても、私たちは音に基づいて彼の情報を信頼の置けるものとして受け入れます。音の振動は、ヴェーダの知識を伝達する上で大変重要です。 第39段落 ヴェーダは私たちに、この宇宙の顕現の向こうには莫大な数の天体と霊的な空があると教えます。この物質的な顕現は、創造全体の小さな部分に過ぎないものであると見なされています。物質的な顕現は、この宇宙だけでなく他の無数の宇宙をも含みます。 しかし、すべての物質的な宇宙を合わせても、創造全体の小さな一部にしかなりません。創造の大部分は霊的な天空にあります。その天空の中に無数の惑星が浮かび、これらはヴァイクンターロカと呼ばれます。すべてのヴァイクンターロカでは、ナーラーヤナが4本の腕のある拡張体、すなわちサンカルシャナ、プラデュムナ、アニルッダーおよびヴァースデヴァの形で支配しておられます。 第40段落 前述のように、物質宇宙はマハー・ヴィシュヌの形をとった主によって創造されました。夫と妻が交わって子供をもうけるように、マハー・ヴィシュヌはご自分の妻であるマーヤー、すなわち物質自然と交わります。これもバガヴァッド・ギーターで確認されており、そこでクリシュナは次のようにおっしゃいます。 (サンスクリット引用) 「おお、クンティーの息子よ。すべての種類の生命は、この物質自然に生まれさせられ、そして私が種を与えた父であると理解されるべきです。」(BG14.4)
by ammolitering4
| 2009-12-30 15:26
| 「主チャイタンニャの教え」
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