第10課
(サンスクリット原文) (翻訳) シャーストラには、結果を求めて働く様々な種類の者のうち、人生のより高い価値観に関する知識(knowledge of the higher value of life)において発達している者は至高主ハリの恩寵を受ける(be favored by)と書かれています。多くのそのような人々のうち、高度な知識を持ったもの(ジニャーニー)、自分の知識の力によって事実上解放されている者が、献身奉仕を習慣づけるかもしれません。彼は他の者たちよりも優れています。 しかし、実際にプレマ、すなわちクリシュナへの純粋な愛に至った者は、彼より優れています。ゴピーたちはすべての高度に発達した献身者たちよりも崇高です。彼女らはいつも完全にシュリー・クリシュナ、超越的な牛飼いの少年に依存しているからです。ゴピーたちの中で、シュリーマティー・ラーダーラーニーはクリシュナにとって最も愛しい方です。 彼女のクンダ(湖)は、主クリシュナにとって、このゴピーたちの中で最も愛しい方と同じくらい大切なものです。それでは、誰がラーダー・クンダに住まないというのでしょうか?そして、彼らの永遠の八重の毎日の娯楽、アシュタカーリーヤ・リーラーにいそしむ聖なる恋人たち、シュリー・シュリー・ラーダー・ゴヴィンダに、恍惚的な献身の感情(アプラークリタ・バーヴァ)に過充電された霊的な体で愛情ある奉仕を捧げない者は誰でしょうか?実に、ラーダー・クンダの岸辺で献身奉仕を遂行する者は、宇宙の中で最も幸運な人々です。 (解説) 第1段落 現在では、ほとんどすべての人が何らかの結果を求める活動にいそしんでいます。働くことで物質的な利益を得ることを望む者は、カルミー、すなわち結果を求めて働く者、と呼ばれます。この物質世界の中のすべての生命体は、マーヤーの魔力の下に入っています。これはヴィシュヌ・プラーナ(6.7.61)に描写されています。 (サンスクリット引用) 聖人たちは、至高の人格神のエネルギーを三つに分類しました。霊的エネルギー、境界(marginal)エネルギー、および物質エネルギーです。物質エネルギーは、三流のエネルギー(トリティーヤー・シャクティー)であると考えられています。物質エネルギーの支配権の中にいる生命体は、時として感覚の満足のために犬や豚のように一生懸命に働きます。 しかし、この生において、あるいは敬虔な活動を行った後で、次の生において、一部のカルミーはヴェーダに記された様々な種類の犠牲を行うことに強く魅了されます。こうして、自分たちの敬虔な功績の力のお陰で、彼らは天国的な惑星に昇格されます。実際、ヴェーダの指示に従って厳密に犠牲を行う者は、月や月より上位の惑星に昇格されます。 バガヴァッド・ギーター(9.21)には次のように書かれています。(サンスクリット引用)自分たちのいわゆる敬虔な行いの結果を消費したあと、彼らは再マルテャ・ロカ、すなわち死の場所と呼ばれる地球に戻ります。そのような人々は、自分たちの敬虔な行いによって天国的な惑星に昇格されるかもしれず、そこで何千年もの命を楽しむかもしれませんが、彼らは自分たちの敬虔な行いの結果が消費されたときには、どちらにしてもこの惑星に戻らねばなりません。 第2段落 これが敬虔に振舞う者も非敬虔に振舞う者も含めた、すべてのカルミーの立場です。この惑星では、単に物質的な幸せだけに興味のある多くのビジネスマンや政治家や他の人たちを私たちは見ることができます。彼らは、自分のとる方法が敬虔であるか非敬虔であるかを考慮せず、あらゆる方法でお金を稼ごうとします。そのような人々は、カルミー、すなわち甚だしい物質主義者と呼ばれます。 カルミーの中の一部は、ヴェーダの知識という指針無しに行動するヴィカルミーです。ヴェーダの知識に基づいて行動する者は、主ヴィシュヌの満足のために、そして主から恩恵をこうむるために、犠牲を行います。このようにして、彼らはより高い天体系に昇格されます。そのようなカルミーはヴィカルミーより優れています。彼らはヴェーダの指示に忠実であり、確かにクリシュナにとって愛しいからです。 バガヴァッド・ギーター(4.11)において、クリシュナはおっしゃいます。(サンスクリット引用)「どのような方法であれ私に服従する者には、私は相応に報いを与えます。」クリシュナはとても親切なので、主はカルミーとジニャーニーの望みを叶えられました。バークタについては、言うまでもありません。時として、カルミーはより高い天体系に昇格されますが、結果を求める活動に執着している限り、彼らは死の後で新しい物質的な体を受け入れなければなりません。 もしも敬虔に振舞うなら、人はより高い天体系において半神たちの間で新しいからだを得ることができます。あるいは、より高い水準の物質的な幸福を楽しむことのできる何か別の立場を得るかもしれません。一方で、非敬虔な行いにたずさわる者は、降格されて動物や木や草(plants)として生を受けます。このため、ヴェーダの指示を軽んじる者(ヴィカルミー)たちは、学識ある聖人的な人々によって高く評価されません(to appreciate)。シュリマッド・バーガヴァタム(5.5.4)には次のように述べられています。 (サンスクリット引用) 「単に感覚の満足のために犬や豚のように働く物質主義者は、本当は狂っています。彼らは単に感覚の満足のためだけに様々な忌まわしい行いをします。物質主義的な行いは、全く知性的な者にふさわしいものではありません。そのような行いの結果として、人は悲惨さに満ちた物質的な体を得るからです。」 人間の人生の目的は、物質的な存在に付随する三重の悲惨な状態から抜け出すことです。不幸にして、結果を求めて働く者たちは、あらゆる方法でお金を稼いで一時的な物質的な快適さを得ることに必死です。したがって、彼らはより低い種類の生命に降格される危険を冒します。物質主義者たちは、愚かにもこの物質世界で幸せになるために多くの計画を立てます。 彼らは、自分がある一定の期間を生きるだけに過ぎず、そのうちの大部分を感覚の満足のためにお金を稼ぐことに使わねばならないのだということを、立ち止まって考えません。究極的には、そのような活動は死に終わります。物質主義者たちは、体を放棄した後で自分たちが低位の動物や草や木の体に入れられるかもしれないということを考えません。 こうして、彼らの行いのすべては人生の目的を無にします。(defeats the purpose of life、「こうした行いによって、人生の目的が果たせない結果となる」)彼らは無明の中に生まれたばかりでなく、高層ビルや大きな車や高い地位などの形で物質的な利益を得ていると考え、無明の水準で行動します。物質主義者たちは、次の生で自分たちが降格され、自分たちのすべての行いは単にパラーバータ、すなわち自らの敗北としかならないということを知りません。これがシュリマッド・バーガヴァタム(5.5.5)の判断です。(サンスクリット引用) 第3段落 したがって、人は魂の科学(アータマ・タットヴァ)を理解することに熱心であるべきです。魂が自己であって、体は自己ではない、ということを理解できるアートマ・タットヴァの水準に至らない限り、人は無明の水準に留まります。何千もの、そして何百万もの、単に自分の感覚を満足させるために時間を無駄にしている人々の中で、一人が知識の水準に至って人生のより高い価値を理解するかもしれません。 そのような人はジニャーニーと呼ばれます。ジニャーニーは、結果を求める行いは自分を物質的な存在に縛りつけ、一つの体から別の体へと転生する原因になる、ということを知っています。シュリマッド・バーガヴァタムにシャリーラ・バンダー(物質的な存在への呪縛)という言葉で示されているように、何らかの感覚的な楽しみの概念を維持している限り、人の心はカルマ、すなわち結果を求める活動に没頭していて、これは彼が一つの体から別の体へと転生することを余儀なくさせる原因となります。 第4段落 したがって、ジニャーニーはカルミーより優れていると考えられます。彼は少なくとも感覚の喜びの盲目的な活動を慎むからです。これが至高の人格神の判断です。しかし、ジニャーニーはカルミーの無明からは解放されているかもしれませんが、献身奉仕の水準に至らない限り、彼はまだ無明(アヴィデャー)の中にあると考えられます。 人は、ジニャーニー、すなわち知識において発達しているとして受け入れられるかもしれませんが、彼の知識は不純であると考えられます。彼は献身奉仕について何の情報も持たず、したがって至高の人格神の蓮の御足を崇拝することを怠るからです。 第5段落 ジニャーニーが献身奉仕を習慣づけるとき、彼は急速に普通のジニャーニーよりも優れた者になります。そのような発達した人は(サンスクリット引用)と描写されます。ジニャーニーがいかにして献身奉仕を習慣づけるかについて、クリシュナはバガヴァッド・ギーター(7.19)でおっしゃいます。 (サンスクリット引用) 「多くの生と死のあと、本当に知識のある者は私がすべての原因の原因であって存在のすべてであると知って、私に服従します。そのような偉大な魂は非常にまれです。」実際、クリシュナの蓮の御足に服従するとき、人は賢明なのです。しかし、そのようなマハートマー、すなわち偉大な魂はほとんどいません。 第6段落 規律的な原則の下で献身奉仕を習慣づけたあと、人はナーラダやサナカやサナータナなどの偉大な献身者の足跡を辿って、至高神への自然発生的な愛という水準に至るかもしれません。そうすれば、至高の人格神は、彼をより優れた者であるとして認識なさいます。至高神への愛を育んだ献身者は、確かに崇高な地位にあります。 第7段落 これらすべての献身者のうち、ゴピーはより優れているとして認識されています。彼女らはクリシュナを満足させることの他は何も知らないからです。ゴピーたちはクリシュナから何の見返りも期待していません。実際、クリシュナは時としてご自身を彼女らから引き離すことによって、彼女らに極度の苦しみをお与えになります。 クリシュナがマトゥーラーに行くためにヴリンダーヴァンを去ったとき、ゴピーたちはこの上なく気落ちして、残りの人生を単にクリシュナからの別離を嘆いて泣き暮らしました。これは、ある意味では彼女らが決して実際にはクリシュナから離れていなかったことを意味します。クリシュナのことを考えることとクリシュナと関わることの間には、何の違いもありません。 むしろ、ヴァプララムバー・セヴァー(サンスクリット)、シュリー・チャイタンニャ・マハープラブがなさったような、別離においてクリシュナのことを考えることは、クリシュナに直接奉仕するよりもはるかに優れているのです。このため、クリシュナへの純粋な献身的な愛を育んだすべての献身者の中で、ゴピーたちは最も崇高です。 そして、これらすべての崇高なゴピーたちの中で、シュリーマティー・ラーダーラーニーは最も高度です。シュリーマティー・ラーダーラーニーの献身奉仕をしのぐことのできる者はいません。実に、クリシュナでさえシュリーマティー・ラーダーラーニーの感じ方を理解することができません。したがって、単に彼女の超越的な気持ちを理解するために、主は彼女の立場に立って、シュリー・チャイタンニャ・マハープラブとしてお現れになりました。 第8段落 このようにして、シュリーラ・ルーパ・ゴスヴァーミーは、シュリーマティー・ラーダーラーニーがクリシュナの最も崇高な献身者であって、彼女のクンダ(湖)、シュリー・ラーダー・クンダが最も崇高な場所である、と、徐々に結論づけられます。これはチャイタンニャ・チャリタムリタの中にラグーバーガヴァタームリタ(ウッタラ・カーンダ45)から引用されている節において確証されています。 (サンスクリット引用) 「ちょうどシュリーマティー・ラーダーラーニーが至高主クリシュナ(ヴィシュヌ)にとって愛しいように、彼女の沐浴の場(ラーダー・クンダ)もクリシュナにとって等しく愛しいものです。すべてのゴピーの中で、彼女たけが主の最も愛する方として至高の存在です。(She alone stands supreme、to standは状態を表す) 第9段落 したがって、クリシュナ意識に興味のある者は誰でも、究極的にはラーダー・クンダの庇護を受け、そこで生涯を通して献身奉仕を遂行すべきです。これがウパデシャームリタの10節におけるルーパ・ゴスヴァーミーの結論です。
by ammolitering4
| 2009-12-11 10:29
| 「教えの甘露」
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