英知による放棄 第1部 第1章

第1部 バーガヴァーネル・カター - 至高存在に関する知識

第1章 この物質自然は悲惨さに満ちている


(第1段落)アッラハバッドで発行されている日刊紙「アムリタ・バザー・パトリカ」の編集者は、先日、やや悲しい調子で社説を始めました。

「我が国の(今)週は『ジャルヒアンワラー・バーグ(*)』の記憶で始まり、そして政治的な農奴制はもはや私たちを悩ませない。しかし、私たちの問題は終わりからは程遠い。天の配剤において、人類は何らの休息も得ることはできない。もしも一種の問題が去れば、次のものが直ちに続く。政治的に自由なインドは、外国の支配の下での問題に劣らず深刻な困難に直面している。」

(*)1919年4月13日、インドのジャルヒアンワラー・バーグでイギリス軍によって1516名が殺傷された。祈りの集会に対するこのいわれのない攻撃は憤慨を生み、イギリスとインドの関係における転換点と見なされた。ガンジーを含むインドの指導者たちは、イギリスはインドの支配を簡単には放棄しないということを、ついに認識した。(訳注:別名アムリットサル事件。以下、ウィキデピアより引用。)

http://ja.wikipedia.org
アムリットサル事件(アムリットサルじけん,Amritsar Massacre)は1919年4月13日、インドのパンジャーブ地方アムリットサル(シク教の聖地)でスワデーシー(自分の国の意で国産品愛用)の要求と、ローラット法発布に対する抗議のために集まった非武装のインド人市民に対して、グルカ族およびイスラム教徒からなるインド軍部隊が無差別射撃した事件。アムリットサル虐殺事件、事件の起きた市内の地名をとってジャリヤーンワーラー・バーグ事件Jallianwala Bagh massacreとも呼ばれる。

1917年の英国インド相エドウィン・モンタギューが行った戦後自治の約束(インドの自治を漸進的に実現していくという内容)は形式だけの自治を認めるインド統治法の発布に終わり、1919年3月にはローラット法(インド政庁発布の、破壊活動容疑者に対する令状なしの逮捕、裁判ぬきの投獄を認めた法規)が発布された。
4月に入ると、アムリットサル市を中心としてパンジャーブ州では大暴動が発生し、銀行、駅、電話局、教会などが暴徒に襲われ、十数人のイギリス人が殺害されたため、治安部隊が投入され、集会の禁止が通達された。集会の禁止が通達されたものの、4月13日には2人の民族指導者の逮捕に抗議する非武装の集会がアムリットサル市で行われた。
女性や子供も参加し、非武装で暴力的行為も無かったこの集会の参加者に対してイギリス人のレジナルド・ダイヤー准 将率いるグルカ兵からなるイギリス領インド帝国軍一個小隊が乗り込み、いきなり参加者に対する発砲を始めた。さらに避難する人々の背中に向けて10分から 15分に渡って弾丸が尽きるまで銃撃を続け、1,500名以上の死傷者を出した。この後、戒厳令が発令され、暴動は一気に収束したが、この弾圧によってイ ンドの反英運動は激化することになった。
パンジャーブ地方はこののち戒厳令が敷かれたが、すでに1919年4月6日にマハトマ・ガンディーによって始められていた非暴力抵抗運動(サティヤーグラハ(英語版))はこの事件を契機にして大きく進展することとなった。サティヤーグラハの運動理念は、のちにガンディーがインド独立運動を指導するさいにも引き継がれた。
ダイヤー准将の行動は、イギリス政府からも厳しく非難され、大佐に降格の上に罷免された。だが、上院の保守派がかばったことと、本人の健康状態の悪化によって訴追されることはなかった(ダイヤーは1927年に死去)。1940年3月13日、事件時のパンジャーブ州知事だったサー・マイケル・オドワヤーが、事件の生存者によってロンドンで射殺された。

(第2段落)さて、もしも人がインドの農奴制と自由の勘定帳簿を調べ、そしてその内容を霊的な視点から見るなら、結論は次のようなものになるでしょう。サッテャ、トレター、ドヴァーパラ、そしてカリという4つのユガ、すなわち時代は、合計432万年になります。

43万2千年続くカリ・ユガは、およそ5千年前、マハーラージャ・パリークスィットの支配の時代に始まりました。この5千年のうち、およそ千年の間、すなわち西暦1050年のモハンマド・ゴーリの侵略以来、インドは外国による支配を経験しています。

言い換えると、聖典に基づいて計算するなら、インドはマハーラージャ・パリークスィットの支配まで388万8千年の間、地球という惑星全体に完全な統治権を持っていました。このため、わずか千年の外国による支配はそれほど嘆くようなことではありません。

過去においても現在においても、インドの政治的な農奴制または自由は、そのようなことの実際の価値をよく知っていたインドの非常に偉大な(訳注:greatest、この場合はtheが付いていないので、「最も偉大な」ではなく「非常に~な」という形容詞になります)思索家や哲学者の(訳注:~にとっては)主な懸念ではありません。

マハーラージャ・パリークスィットにいたるまで、インドの王は世界中を支配することができました。そして、わずか2世紀ではなく、何百年も何千年もです。彼らの支配の理由は政治的なものではありませんでした。

(第3段落)インドの往時の賢者たちは、私たち人間が苦しむことを運命づけられている三重の悲惨さは、外国の支配であれ、それからの自由であれ、国を支配している政治的な状況によっては決して軽減され得ない、と簡単に認識しました。

現代(訳注:カリの時代)の歴史の始まりの頃、インドで政治的な問題を巡って戦われた大決戦(Armageddon 、ハルマゲドン)はわずか18日間続きました。その歴史的な戦場で人間の苦しみの問題とその永遠の解決策が議論され、この議論はバーガヴァッド・ギーターという形に編纂されました。

(第4段落)このように、数千年の昔、バーガヴァッド・ギーターは「アムリタ・バザー・パトリカ」の編集者が「もしも一種の問題が去れば、次のものが直ちに続く」と意気消沈した論調で書くのと同じ主題を包括的に論じました。

ギーター(7.14)の中で、主クリシュナはおっしゃいます。「物質自然の3つの相から成る私のこの聖なるエネルギーは、克服するのが困難です。」ここで使われるダイヴィー・マーヤーというサンスクリットの言葉は、現代の用語では「自然の法」と訳され得ます。

私たちが新聞にたくさんの記事を書いても、あるいは大きな会議で動議を山ほど上程しても、この自然の法は非常に厳しいので、それを統御することは不可能です。自然の法の支配から私たちを守ることを目的とした、私たちの発達した技術的な、そして科学的な努力は無益です。

なぜなら、それらはみな、全く同じ自然の法、すなわちダイヴィー・マーヤーによって統御されているからです。したがって、自然の法を打ち負かすために俗世の科学を利用しようとするのは、フランケンシュタインを作ろうとするようなものです。

発達した技術を通して人間の苦しみを根絶し、永続的な幸せをもたらす努力は、私たちを「原子の時代」に連れてきました。西洋の思索家たちは、原子爆発が発生させ得る破壊の程度について深く(訳注:gravely、危機的なゆゆしい事態であると思うこと)懸念しています。

一部の指導者たちは原子エネルギーが平和的な目的のためだけに使われる予定だ(how ~ is to be used)ということに関する決まり文句をもって警戒を鎮めようとしていますが、これはダイヴィー・マーヤー、すなわち自然の法によって起こされたごまかしのもう一つの形です。

(第5段落)誰にとっても、ダイヴィー・マーヤーの二面攻撃、すなわち彼女(訳注:このエネルギーはクリシュナの女性エネルギーであるため「彼女」という表現がなされる)の覆う力と投げる力に打ち勝つことは不可能です。

この聖なるエネルギー(訳注:「邪悪」と見なされるダイヴィー・マーヤーの力)を征服しようとすればするほど、彼女が私たちを熱情の相を通して興奮させ、すべてを貪る(訳注:all-devouring、本来は動物の形容で、雑食で植物も肉も何でも食べる性質を表す)死に極まる三重の悲惨さを持って私たちを罰し、私たちはもっと力強く打ち負かされます。

聖なるエネルギーと邪悪な力との間の戦いは永遠です。この戦いを理解することに関する私たちの能力の無さが、私たちを嘆きに導きました。「天の配剤において、人類は何らの休息も得ることはできない。」

(第6段落)
聖なるエネルギーの手で繰り返し敗北を味わったにも関わらず、邪悪な力はなぜ「人類は何らの休息も得ることはできない」かということを理解することができません。それでもバーガヴァッド・ギーターの中で至高の人格神は明らかにこれを説明なさいます。

まず主は邪悪な力に、これらの言葉をもって断固として警告なさいます。(サンスクリット引用)「物質自然の3つの相から成る私のこの聖なるエネルギーは克服するのが困難です。」そして次の行で主は彼らにどうやってこの聖なるエネルギーを克服するかをお教えになります。「しかし、私に服従した者は簡単にそれを越えることができます。」

(訳注:聖なる力と邪悪な力という表現がたくさん出てきますが、ダイヴィー・マーヤーの力はクリシュナの「邪悪な」側面であり、あくまで無敵の聖なる力です。敗北を喫するほうの「邪悪な力」は人類の俗的な努力を指します。)
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by ammolitering4 | 2013-05-10 02:21 | 「英知による放棄」 | Comments(0)
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