第49段落
アートマーラーマの節の説明を続けながら、主チャイタンニャは、アートマーという言葉は様々な種類の至高の人格神も指す、と指摘なさいました。一般に、至高の人格神ご自身であるクリシュナ、および主の様々な拡張体は、すべて至高の人格神として知られます。 第50段落 至高の人格神のいかなる形、あるいは拡張体への献身奉仕にたずさわっている者もまた、アートマーラーマと呼ばれます。すべてのそのような献身者は、献身奉仕の規律的な原則に従っているか、あるいは超越的な愛における献身奉仕に携わっています。 これらの献身者もまた、以下のように3つの部類に分けられます。 1、(主の)仲間 2、献身奉仕において完成の域に達した者 3、新しく献身奉仕に携わった者 新しく献身奉仕に携わった者は、二つに分けられ得ます。既に主への愛着を得た者と、まだそのような愛着を得ていない者です。献身奉仕の二つの区分(つまり規律的なものと超越的な愛における愛着)に従って考えると、これらの部類の献身者は8つになります。献身の規律的な原則に従うことによって、主の完全な仲間はさらに4つの部類に分けられます。従者、友人、親のような目上の者、そして婚約者です。 第51段落 ちょうど一部の献身者が献身奉仕の遂行によって完成に至るように、したがって彼ら(献身者)の一部は永遠に完璧です。(訳注:やや分かりにくい表現ですが、「一部が~であるように、別の一部は~である」という意味と思われます。) 献身奉仕の規律的な原則に従う者の中には、上級者と初心者がいます。そして、主への超越的な愛情ある奉仕(をする者)の中には、16種類の献身者がいます。こうして、アートマーラーマは32の部類において存在すると考えられえます。 もしも32の部類にムニ、ニルグランター、チャ、およびアピという言葉が当てはめられるなら、そうすれば58種の異なる献身者があります。森にはたくさんの異なる種類の木が生えているかもしれませんが、「木」という言葉はそれらすべてを描写します。 第52段落 こうして主は、アートマーラーマという言葉に60の異なる意味を与えられました。さらに主は、アートマーは「最初の生命ある被造物ブラーマーからアリに至るまでの生命体」を意味する、とおっしゃいました。主は、ヴィシュヌ・プラーナの6章から1節を引用なさいました。 そこには、主のすべてのエネルギーは霊的である、と述べられています。これはその通りですが、生命体の源として知られているエネルギーは霊的と呼ばれますが、もう一つのエネルギー、無明に溢れ、物質的な活動において顕現するエネルギーは、物質自然と呼ばれます。 物質創造においてさえ、生命体は無数です。もしも偶然によって物質世界の生命体が純粋な献身者と関わることができるなら、彼はクリシュナへの純粋な献身奉仕に携わることができます。「かつて私はアートマーラーマという言葉の60の異なる意味を考えていました」と主はサナータナ・ゴスヴァーミーにおっしゃいました。「しかし、あなたとの関わりによって、もう一つの意味を思い出しました。」 第53段落 アートマーラーマという言葉の様々な説明を聞いたあと、サナータナ・ゴスヴァーミーは驚きに打たれ、献身の念を込めて主チャイタンニャの足元にひれ伏しました。「私はあなたが至高の人格神のクリシュナであることを理解します」とサナータナは言いました。 「そして、あなたの呼吸と共に多くのヴェーダ文献が顕現しました。あなたはシュリマッド・バーガヴァタムの教師であり、そしてあなたはシュリマッド・バーガヴァタムの意味を最もよくご存知です。他の人にとって、あなたの慈悲なくしてシュリマッド・バーガヴァタムの極秘の意味を理解することは可能ではありません。」 第54段落 「そのように私を讃えようとしてはなりません」と主はサナータナにおっしゃいました。「ただシュリマッド・バーガヴァタムの本当の性質を理解しようとしなさい。シュリマッド・バーガヴァタムは至高主クリシュナの音による描写です。したがってシュリマッド・バーガヴァタムはクリシュナと異なるものではありません。 クリシュナは無限であり、そして同様にシュリマッド・バーガヴァタムのそれぞれの言葉と文字は無限の意味を持っています。人はこれらの意味を献身者との関わりを通して理解することができます。それなら、バーガヴァタムは単に問いへの答えを集めたものだ、と言ってはなりません。」 第55段落 ナイミシャーラニャの賢人たちによってスータ・ゴスヴァーミーに問われた6つの質問があり、そしてスータ・ゴスヴァーミーはシュリマッド・バーガヴァタムにおいて6つの問いを説明したり、あるいは答えたりなさいました。(訳注:explained or answered、「説明した、言い換えると回答した」とも取れますが、大した違いはありません。) ヴェーダ文献には、主シヴァが次のようにおっしゃる節があります。「バーガヴァタムに関して言えば、私はそれを知っているかもしれず、あるいはシャカデヴァまたはヴャーサデヴァが知っているかもしれません。あるいは私たちはそれを知らないかもしれません。 しかし実際はバーガヴァタムは献身奉仕によって、そして献身者から理解されるべきものであって、人が自分の知性によって、あるいは学究的な解説によって理解されるべきものではありません。」シュリマッド・バーガヴァタムの初めで(1.1.23)、ナイミシャーラニャの賢人たちは尋ねました。 (サンスクリット引用) 「我が親愛なる師(sir)よ。どうか親切にも私たちに、主がご自分のお住まいにお帰りになった後で、宗教の原則が主と共に去ったのかどうかを教えてください。主がお去りになった後で、どうやって私たちはそのような原則を見つけることができるでしょう?」 第56段落 答えは次のようなものでした(1.3.43)。 (サンスクリット引用) 「クリシュナがすべての宗教的な原則と共にご自分のお住まいに去って行かれたあと、主の代理人であるシュリマッド・バーガヴァタム、マハー・プラーナが、燃え盛り、明るく照らす太陽として残ります。」 第57段落 主チャイタンニャはそれからサナータナ・ゴスヴァーミーに言いました。「私はこのアートマーラーマの節を非常に多くの方法で描写するうえで、ちょうど狂った人のようでした。私が何か狂ったことを言ったなら、気にしないでください。しかし、もしも誰かが私のように狂人になるなら、彼は私がそれを説明したようにシュリマッド・バーガヴァタムの本当の意味を理解することができます。」 第58段落 それからサナータナ・ゴスヴァーミーは合掌して主チャイタンニャの足元にひれ伏して祈りました。「わが親愛なる主よ」と彼は言いました。「あなたは私に献身奉仕の規律的な原則を準備するように頼まれました。しかし私は低い階級に属しています。私は何の知識も持っていません。 わたしはどうやってそのような重要な課題が私によって達成されるのか分かりません(訳注;どうやって私が~を達成できるのか分かりません)。もしもあなたが親切にも私にそのような献身奉仕に関する本の準備についていくらかの手がかりを与えてくださるなら、私はそれを書く資格が得られるかもしれません。」 第59段落 主はそれから、こう言って彼を祝福しました。「何であれあなたが書くことは、クリシュナの恵みによって、あなたの心から生じ、あなたが頼んだように受け入れられるでしょう(will be accepted as you requested)。私はまた、あなたが書き留めることのできるいくつかの注釈をあげます(訳注:「いくつか注釈をあげるので、書きとめてください」)。 最初にして最も大切な点は、人は真正なる霊的指導者を受け入れるべきであるということです。それが霊的な人生の始まりです。」主チャイタンニャはそれからサナータナ・ゴスヴァーミーに、本当のグルの徴候と本当の献身者の徴候を書き留めるように頼みました。 献身者の徴候はパドマ・プラーナに描写されています。資格のあるブラーマナであり、同時に献身者のすべての徴候を持った者は、すべての階層の人々の霊的指導者になることができます。そのような献身者と霊的指導者は、神ご自身として尊重されなければなりません。 人は非常にちゃんとしたブラーマナの家庭に生まれるかもしれませんが、もしも主の献身者でないなら、彼は真正な霊的指導者になることはできません。人は、真正なる霊的指導者はいわゆるブラーマナの家庭に生まれなければならない、と誤って考えるべきではありません。つまり、霊的指導者は資格のあるブラーマナでなければなりません。すなわち、彼はその活動によって資格を得なければなりません。 第60段落 これは、ナーラダが社会生活の4つの区分を特徴づける異なる徴候について語ったとき、シュリマッド・バーガヴァタムにおいて確認されています。ナーラダはそこで、ブラーマナ、クシャトリヤ、ヴァイシャ、およびシュードラは、それぞれの個々の資格によって選ばれなければならない、と要約しました。 この解説において、シュリーダーラ・スヴァーミーは、ブラーマナの家庭に生を受けることは必ずしも人がブラーマナであるということを意味しない、と特筆しました。人はブラーマナの徴候によって資格を得ねばならず、その徴候はシャーストラにおいて描写されています。 ゴーディーヤ・ヴィシュナヴァ・サムプラダーヤの師弟継承には、二人の偉大なアーチャーリャ(タークラ・ナロッタマおよびシャーマーナンダ・ゴスヴァーミー)がいます。彼らはブラーマナの家庭には生まれませんでしたが、ガンガーナーラーヤナ、ラマクリシュナなどを含む多くの有名なブラーマナによって霊的指導者として受け入れられました。 第61段落 このように、見込みのある献身者がはっきりと表す徴候があり、そして献身者と霊的指導者の両者が、互いに互いが真正な霊的指導者あるいは真正な生徒になる資格があるかどうかを判断しなければなりません。それから人は、唯一の崇拝しうる対象は至高の人格神であると知るべきであり、そして人は様々な真言と聖なる歌を学ぶべきです。 第62段落 主はそれからサナータナ・ゴスヴァーミーに、真言を受け入れる資格のある人の徴候を描写するように、そして、真言がいかにして理解されるべきか、および真言がいかにして儀礼的な儀式によって完成させられるべきかを描写するように指示なさいました。 それから主は、洗礼(initiation、入門の儀式)、朝の義務と清潔さの義務ーーー顔を洗うことと歯を磨くことーーー(および)仕事の方法と、朝晩の両方に唱えられるべき祈りを描写なさいました。(訳注;構文に多少の問題あり。祈りについては、朝に唱えるものと晩に唱えるもの、という別のものだと思われます。) 主はまた、人がいかに霊的指導者を崇拝すべきか、そしていかに自分の体にゴピー・チャンダナで印をつけるべきかも描写なさいました。主はまた、人がいかにトゥラスィーの葉を集めるべきか、いかに部屋と主(クリシュナ)の寺院を洗うべきかを描写なさいました。 そして主はまた、人がいかにクリシュナを眠りから目覚めさせるかを描写なさいました。主チャイタンニャはまた、主(クリシュナ)を崇拝するための様々な方法を描写なさいました。それは全部で5つある方法と、全部で50個ある方法です(the method of five-fold paraphernalia and fifty-fold paraphernalia)。 主(チャイタンニャ)は、人がいかに主(クリシュナ)に一日に5回アーラティを捧げることによって主を崇拝すべきかを描写なさいました。そして主は、人がいかにクリシュナに食べ物を捧げ、いかに主を寝床に寝かしつけるべきかを描写なさいました。 主チャイタンニャはまた、主(クリシュナ)の様々な寺院がある聖なる地へ行くこと、および寺院の中の主の姿を見ることの効果を語られました。主はまた、主(クリシュナ)の超越的な御名を讃えることについて、そして人が崇拝をしている間に犯し得る無礼について語られました。主の崇拝において、特定の道具一式が使われます。ほら貝、水、薫り高い花、祈り、聖歌などです。 そして、儀礼的に何かの周りを回ることがあり、敬意を払うということもあります。人はプラシュチャラナの規律的な原則に従うべきであり、クリシュナに捧げられていない食べ物を退け、クリシュナ・プラサーダを受け入れるべきです。主チャイタンニャはまた、人は献身者の実際の徴候を持つ献身者を中傷することにふけるべきではないと警告なさいました。 第63段落 主チャイタンニャはまた、聖なる人の徴候と、賢人を満足させる方法と、望ましくない人々の交際を退ける方法を説明なさいました。主はまた、人はシュリマッド・バーガヴァタムを絶えず聞くべきであると助言なさいました。 同じく従われるべきであるのは、一日の義務と2週間の義務、ならびにエカーダーシの日の断食です。人はまた、月の義務に従い、主の誕生日、三つの特定の断食の日、エカーダシー、ジャンマースタミー、ヴァーマナドヴァーダシー、シュリー・ラーマナヴァミーおよびヌリスィムハチャトゥルダシーなどの儀式を行わなければなりません。 断食の日が他の日(ヴィッダー)と重なるときは、それらは献身奉仕の発達において助けとなります。主チャイタンニャはさらに、サナータナ・ゴスヴァーミーに、常にプラーナからの文書的な証拠を挙げるように教えました。 主はまた、いかにして主の寺院を建立するかに言及なさり、そして主は、ヴァイシュナヴァの一般的な振る舞い、徴候、そして義務と仕事(occupation)を描写なさいました。このように主は、ヴァイシュナヴァの規律的な原則について本を書くにあたって人が知る必要があるすべての詳細を要約して説明なさいました。 第64段落 サナータナ・ゴスヴァーミーは主の偉大な献身者でした。そして彼は、多くの本を書くことによってバークティの礼拝形式(cult)を広めるように直接指示されました。チャイタンニャ・チャンドロダヤにサナータナの描写があり、そこにおいてサナータナ・ゴスヴァーミーはナワブ・フッサインの政府における最も重要な名士の一人だったと言及されています。 彼の弟ルーパ・ゴスヴァーミーもまた、政府の役人でしたが、二人とも物乞いになって至高主に奉仕をするために、その実入りの多い政府の仕事を辞めました。外見上は、兄弟たちはちょうど普通の物乞いのようになりました。 しかし、彼らの心はヴリンダーヴァンの牛飼いの少年への超越的な愛情ある奉仕と大いなる愛で満ちていました。実に、サナータナ・ゴスヴァーミーは当時のすべての純粋な献身者にとって愛しい(dear)存在でした。
by ammolitering4
| 2011-03-06 04:59
| 「主チャイタンニャの教え」
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